2018/06/22 09:13

5月のネパール滞在では、国内東端に位置するイラムだけでなく、相方の故郷の村にも
足を運びました(彼自身はカトマンドゥで生まれ育っていますが、ネパールでは父親の出身地を
自分の故郷というひとが結構います)。

傾斜のきつさは土地土地で違えども、どこに向かうにしろ、登るか、降りるか、
というのが、平地のない山村の集落での日常です。

カトマンドゥなど都市部では、経済的ゆとりのあるひとびとは、動かずに食べるだけの
日々のなか肥満と化し、高血圧、糖尿病の疾患もだいぶ見られますが、自分の足で
歩かなければ始まらない山村では、肥満のひとを見ることはほとんどありません。

カトマンドゥから西へ約130キロ、ドゥムレという町から車で北上すること
1時間半ほどに位置するバヤパニ村


現金収入の少ない山村部では、以前から家長がインド軍などへ出稼ぎに行くケースは
よくありましたが、21世紀に入って内戦が激化すると、中東地域をはじめ、
各地へ出稼ぎに行くひとが急増。最近は、村の住民が減るいっぽうで
こんなふうに放置状態の畑も増えています。外から来た人間にとっては、これが
なかなか楽しいトレッキングルートに(地元住人と一緒でないと、
どこをどう向かっているか、皆目見当がつきませんが)。

あちこちで放牧されているヤギや牛

また、2015年春に起きた地震後、ネパールでは、全土で道づくりを主とした
インフラの整備が急ピッチで進んでいて、段々畑はブルドーザーで
整地され、車道へと変わっています。ただ、道はすぐにアスファルトで舗装
されるわけではなく、赤土がむき出しの斜面は、雨が降ればすぐに土砂崩れを起こします。
道ができたことで走り始めたバスも、雨で赤土がぬかるめば通行できず、
今回はわたしたちも雨のなか、車道ができるまで村のひとたちが利用していた
生活道路を歩き、2時間かけて麓まで降りました。



ブルドーザーで拓かれ、赤土がむき出し状態の山肌

村の一日は、水汲み、掃除からスタート。火を熾してお茶を入れ、ヤギや水牛など
家畜に餌を与え、乳を搾り、糞尿の掃除。その後、朝食の準備をして子どもを
学校に送り出した後、週に数度は家畜を放牧に連れ出します。

その合間に家畜の餌になる草を刈り、畑の手入れ、洗濯、夕方になれば2度目の乳搾り、
そして夕飯の準備。女性はほとんど一日中仕事をしている感じです。


こんなふうにヒエを脱穀


今、田舎の家で、相方の伯母と暮らす従妹は、わたしたちの足では
20分近くかかる峠までの上り道を10分で歩く健脚の持ち主。

ネパールのゼンマイ

道端や日陰の斜面に自生するゼンマイを見つけると、斜面をものともせずに
自在に移動するその姿は、ヤギのように確かな足取りなのでした。